第5回では、生粋のアーティスト気質を持ち我が道を行く一方で、

誰よりも他人の幸せに目を向ける、素敵な二面性を持った方にお話をお伺いしました。

森永乳業の人財部ではたらく安達芙由子さんです。

前編、後編でお送りします。


安達芙由子(あだちふゆこ)

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森永乳業株式会社人財部 アシスタントマネージャー

東京都在住。名前の由来は沖縄を舞台にした灰谷健次郎作「太陽の子」。

大阪でクラシックバレエをはじめ、9歳の時に東京都練馬区バレエ団ピッコロ付属研究所入所。

16歳で同バレエ団ベルギー海外公演に参加。現在も同バレエ団所属。

大学卒業後、森永乳業株式会社に入社し、売掛金管理を主な業務とする管理センター勤務。

2006年から人財部に所属。現在は教育担当。女性活躍推進のための教育・制度企画の他、

創業100周年を迎える森永乳業の理念再策定プロジェクト「新たな夢共創プロジェクト」に

携わる。

https://www.morinagamilk.co.jp/corporate/csr/talk/

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<前編:森永乳業編>


「もしこの世界に賞賛も批判もないとしたら、あなたはどんな人に

  なりたいですか」(ハワード・ビーハー)









ー安達さんは、森永乳業の人財部にいらっしゃるということですが、具体的にはどのようなお仕事をしているのですか?


安達さん 教育担当をしています。私が所属するチームでは新入社員研修をはじめとした研修が7割、残り3割は自己啓発の通信教育やEラーニングシステムの構築と運用を行っています。研修では、より具体的なケーススタディなども行っていて、実践的な訓練も行えるようにしています。通信教育、Eラーニングは簿記・会計ビジネスマナーやTOEIC、目標設定や目標管理、コンプライアンスの知識など、通信教育は400種類、Eラーニングは170くらいの講座を用意しています。新入社員だけではなく様々な層の社員に学びの場を提供していて、役職に沿ったものから、役職にとらわれないテーマ、例えばプレゼンテーションスキルなどを扱っています。もちろんリーダーシップの講座もありますよ。



ー安達さんはなぜ、森永乳業への入社を決めたのでしょうか?


安達さん そもそものきっかけは食に対する興味があったからです。幼い頃からバレエをしており、ある時過度なダイエットをしたのですが、正直健康的とはいえなくって。その時に体の調子を整えることの大切さに気づき、食に関わる仕事がしたいと思ったんです。


数ある食品メーカーの中から森永乳業を選んだ理由は、まず、就職試験で面接のあとにドアに向かってお辞儀をすることを自分のルールにしていたのですが、森永乳業の人事担当者がそれをしっかり見て私の採用を決めたことが上げられます。それと、最終面接の時に、当時の人事部長が唯一、私が履歴書に書いたバレエに触れて、「がんばり次第で続けられる。」というメッセージをくれました。バレエを続けることを推してくれた会社は初めてだったので、人をしっかりと見てくれる森永乳業という会社が私に合っていると思ったんですよね。


ーすてきなお話、ありがとうございます。1月度月例会で、「社内ミッションを浸透させる」ことが安達さんのミッションだとおっしゃっていましたが、詳しく教えていただいてもよろしいでしょうか。


安達さん 森永乳業は創業100周年を迎え、これを期に、理念体型の再構築をしています。そのプロジェクトは「新たな夢共創プロジェクト」というものなのですが、私はそのサポートメンバーになっています。



ーどうすればそのミッションが達成できるとお考えですか?


安達さん まずは「ミッションとは何か」を全員が理解することが大事。改めて策定された理念をみんなが理解し、それが行動にもきちんと現れるようになり、さらに当たり前化するところまでが私たちのミッションなんです。「当たり前化」の段階に達するには社員それぞれに成長段階が必要になり、かつ対象が相当な人数になりますので、その中で限りある資源を使い、長い時間をかけて浸透を、と考えています。


ー「社内ミッションの浸透」、壮大なミッションですね。これは会社の一員としてのミッションだと思うのですが、安達さん個人のミッションはありますか?


安達さん スクールの課題でも回答しているのですが、「好きな人や大事な人を幸せにすること」です。岩田先生が著書になっている茶谷順子さんの『リーダーに贈る言葉』(https://www.jchatani.com/)という絵本がありますよね。そこにあった一つの問い。 「もしこの世界に賞賛も批判もないとしたら、あなたはどんな人になりたいですか」(ハワード・ビーハー)。それを突き詰めて考えた結果このミッションにたどり着いたんです。


私は幼い頃から踊りをしていましたが、なぜ自分が好きなのかずっとわからなかったんですよね。だけどようやく気づいたんです。「見てくれる人がいるから」だと。踊れば、好きな人が喜んでくれる。賞賛も報酬もないかもしれないけれど、私が好きで、得意で、しかも私の好きな人が喜んでくれるもの、それがバレエだったんです。


そして実は、社内ミッションを浸透させることが、長い目で見た時に、私の周りに小さな喜びをつくりだし、森永乳業のミッションも、私のミッションも達成することになるんです。


ーそれはどういうことですか?


安達さん 「新たな夢共創プロジェクト」には「会社がより一層一体感を持ってやっていこう」というモチベーションがあります。裏を返すと、今の一体感は十分ではなく、それによって様々な弊害があり、満足できない人達がいる。もし本当の一体感を作り出すことがきたら、私の好きな森永乳業の社員みんなが幸せになれるし、その幸せな人たちが協働して創った商品でお客様も幸せにすることができる。そして社員の家族も、幸せになる。そうすれば幸せが拡散して…私のミッションが果たされる、ということです!


ー連帯感が不満を消し、働く人を幸せにする。そして生み出された商品が、購入する人を幸せにする。商品が売れれば、作った人とその家族はもっと幸せになる。幸せのですね。ちなみに、一体感が不足していると、具体的にどのようなことが起こってしまうのでしょうか。


安達さん 部門間の連携がうまくいかないことがあります。たとえば、協力すれば一緒にやれば大きいことができますが、それぞれのチームが自分たちの利益を追求してしまうばかりに、協力しあえないことがあります。本当はやりたいことが、できずじまいになってしまう。もちろんいつもではないですが。より協力的な社風を創っていきたいですね。





聞き手:伊藤



.........後編に続く。





<過去のインタビュー記事>


いつかは海外へ。|パーソナルトレーナーの五木田さん

会社も、家族もあきらめない。|経営者、そして4児の母、寺岡さん
明るく楽しく前向きに、エキナカを元気にする|津田さん
経験を積んだ者にも、学ぶ場があっていい。|日産の寺田さん